市町村の検診や会社の検診で尿検査異常「血尿です。泌尿器科を受診してください。」と言われた方。
これって、病気? ネットで調べたらガン?
泌尿器科って受診しにくい~。
どんな検査されちゃうんだろう。。
と心配な方は読んでみてください。
ちなみにこの記事は経験年数10数年の泌尿器科専門医の僕が、親兄弟・友人に説明するならこう話すかな~って感じであえて世間話でもしてるかのように書いていきますので医学的用語など必ずしも正確ではない記述もあるかとは思いますがそこはご容赦を。
結論!
血尿が出た方は尿路の病気(感染・結石・腫瘍)の可能性があります。
そのため、CT・尿細胞診・膀胱鏡などの検査が必要になります。
しかし、血尿が出た方のうちで尿路の病気が隠れている割合は1割以下です。
なので、、
病気じゃなければいいな!早期発見できたらラッキー!
という気持ちで泌尿器科を受診してくれるとありがたいです。
血尿って?
血尿とは、おしっこに血がまじることです。当たり前ですよね。
血尿には見た目でおしっこが赤くなる肉眼的血尿と検査で初めて分かる顕微鏡的血尿があります。
検診で血尿を指摘されたということは顕微鏡的血尿ということになります。
後述しますが、肉眼的血尿と顕微鏡的血尿では僕らの警戒の仕方がすこ~し違います。
血尿の原因となる病気って?
血尿には必ず原因がありまして、
医学書には、、糸球体疾患・間質性腎炎・血液凝固異常・尿路感染症・尿路結石症・尿路性器腫瘍・尿路外傷・腎血管性病変・憩室症・その他といっぱい病気がずらりと並んでいます。
この中で泌尿器科疾患として一般的であり、治療を要するものを抜粋しますと、
- 感染
- 結石
- 腫瘍
この3つです。なんとなくイメージは湧きますよね。
- 感染:膀胱炎・腎盂腎炎・前立腺炎など。いわゆる尿路のバイキン感染です。
- 結石:腎結石・尿管結石・膀胱結石など。特に尿管結石は激痛を伴う病気として一般的ですよね。
- 腫瘍:腎腫瘍・腎盂腫瘍・尿管腫瘍・膀胱腫瘍など。当然これらが一番心配ですね。
血尿を指摘された方には、主にこれらの病気を頭に置いて検査を進めていきます。
では、どんな検査されるの?
血尿の原因となる病気を見つけるために行う主な検査は、
- CT
- 尿細胞診
- 膀胱鏡
これら3つです。
CT
これは言わずもがな、体を輪切りにして内部を見る検査です。
尿細胞診
これは通常行うおしっこ検査の検体を使ってできますので改めて排尿してもらったりすることはないです。
おしっこに悪い細胞が出てきていないかをさらに詳しく調べて腫瘍の疑いがないかを見る検査です。
膀胱鏡
これが一番皆さん心配ですよね。イメージ的には胃カメラの細いのが尿道から入っていくような感じです。
女性は尿道が短いのでそれほど苦痛を伴わない、らしいです。男性は尿道が長いので想像するだけで辛そうですよね。
なので、検査前に尿道からゼリー状の麻酔薬をまず入れます。
そして5~10分待ち、しっかり麻酔薬がなじんできたころを見計らって膀胱鏡を入れていきます。
この検査で尿道と膀胱に病気がないか判定することができます。
ちょっと余談ですが、皆さんはこの検査を初診でいきなりやられると思ったらどう思われますか??
僕は初対面の医者にこんな検査されるのは抵抗があります。
不安を抱きつつ、できれば関わりたくないであろう泌尿器科を受診していきなり尿道からカメラを突っ込まれるって思っただけでも僕はつらいです。
医者によってはできる検査をなるべく早くしてあげるのが良いんだと思っていることもあるでしょうけど、僕は正直反対です。
緊急性がない限り、こんな負担をかける検査はある程度信頼関係ができてから羞恥心にも考慮して行うべきだと思っていますね。
余談でした。
しかし、このつらい検査も積極的に勧めないといけない場合があります。
それが前述しました肉眼的血尿(見た目でおしっこに血が混じっている)の場合です。
顕微鏡的血尿と比べて肉眼的血尿の場合は尿路の腫瘍の可能性が高くなります。
なので、「おしっこに血が混じる」と言って受診された場合はより積極的に膀胱鏡検査をお勧めして早期発見したいと思うわけです。
「血尿出てたら絶対こんな病気なの?」と心配ですよね??
実は、血尿の出てる方のうちで実際に病気(感染・結石・腫瘍など)が隠れている方は1割以下なのです。
では残りの9割以上の方は何かと言いますと、治しようがない病気あるいは治す必要がない病気なのです。
腎臓というのは言わば、「ザル」が無数に集まったものです。
そのザルで体に必要なものを残して不要なものを尿として排泄しているわけです。
体に残すべき必要なものの一つが赤血球です。
しかし、長年使ってきた「ザル」ですから、どうしてもザルの目が壊れてしまうことがあります。
これは顔にしわができるのと同じようなものですから仕方ありません。
どんな名医でも治すことはできませんし、治す必要もない状態です。
問題ない9割以上か、治療しなければいけない1割以下かを見極め、治療するのが泌尿器科です。
受診しづらい科の上位だとは思いますが、安心のため、そして早期発見のために受診してください。
泌尿器科的なお悩みがありましたらご相談ください。「可能な限り」にはなってしまいますが対応させていただきます。
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